サービス残業問題




要 求
  1. 過去2年間に及ぶ時間外労働手当て不払い分の全額請求
  2. 不払い労働根絶のための対策
結 果
  1. 組合請求額の約8割(77.4%)を会社が支払うことで合意
  2. 労働時間管理体制づくりの実質的な取り組みを会社が行うことを確認
  3. 36協定の締結
  4. 組合員(2名)に対する期末手当を放棄する代わりにオペレーター全員への期末手当支給を確約



会社側の主張
  • 一定の残業代を基本給に内包する賃金体系であるため、不払い残業代は一切存在しない
  • 時間外に社内に残っていたとしても、本当に働いていたかどうか証明するものはなく、業務指示に基づかない勝手な残業は認められない
  • 企画や分析等の業務は労働者の能力によって労働時間が大きく左右されることから、的確に労働時間を把握することは困難であるため、従業員の裁量に任せてきた
組合側の主張
  • 賃金とは労働者が投下した労働時間に応じて支払わなければならない
  • 裁量労働制やフレックスタイム制を導入しているわけでもなく、ましてや基本給の中に「何時間分の残業代」が含まれているのか不明確である以上、「基本給に残業代を内包」しているという主張は認められない
  • 会社が労働者を法定時間外に働かせるためには36協定を締結していなければならない
  • 会社は「従業員の裁量に任せて」働かせ、的確に労働時間を把握していなかったのであり、「業務指示」がなくとも「帰宅命令」がない以上、「暗黙の指示」に基づく労働であって「勝手な残業」ではない
  • 『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準』(厚生労働省通達:平成12年11月)にもあるように、労働時間を適正に把握するのは会社の当然の職務である



背 景
当社ではかねてより慢性的な長時間労働が横行していたが、社内デスクワークによる残業に対して割増賃金は一切支払われておらず、また従業員に時間外労働をさせるために必要な36協定さえも締結していなかった。その背景には、「基本給に残業代を内包」した不当な賃金体系が20年以上もまかり通っていたこと、また労働時間を管理するはずの管理職が長時間労働の実態を知りつつ実質的に放任してきたこと、および会社側が労働基準法をほとんど理解していなかったことなどがあげられる。



総 括
会社はあくまでも「不払い残業代はない」と主張し、組合からの要求を全面否定するかたちで団体交渉が始まった。
「基本給に残業代を内包した賃金体系」を盾に、頑なに「不払い残業」を認めようとしない会社に対して、組合は「基本給に残業代を内包する賃金体系の問題性」、「不払い残業の違法性(労働基準法第37条違反)」、「36協定の不備」、「ずさんな労働時間管理体制」を団体交渉を通じて繰り返し指摘した。その結果、会社は組合からの要求をほぼ全面的に認めるに至った。
組合にとっての要求の主たる目的は「不払い残業代の全額清算」ではなく、むしろ慢性的な「長時間労働」体質の改善であり、その背後にある「管理職の職務怠慢」是正にあった。
『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準』(厚生労働省通達:平成12年11月)や『賃金不払残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針』(平成15年5月23日公表)と国から相次いで通達されているように、従業員の労働時間を的確に把握することは使用者の最低限の責務であって、これを労使ともに遵守することは今や社会的常識であるといっても過言ではない。
「賃金は労働者が投下した労働時間に応じて支払わなければならない」・・・・これは労働者を雇う使用者の義務であり、言い換えれば、労働者の義務は「支払われる賃金の範囲内に対する労働の提供」に過ぎないのである。

楽屋話


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